のらりくらり、ブログ

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話が苦手な人でも相手を感動させられるかもという話

今日は、話が苦手な人でも相手を感動させられるかもしれないと感じたできごとについて書きたいと思います。




数年前の話。

その日、深夜まで仕事をしていた私は終電を逃してしまい自宅に帰るのに仕方なくタクシーに乗りこみました。

自宅まで約1時間。財布に痛いことこの上ないのですが、仕方ありません。

その日は会社に泊まるわけにもいかずタクシー帰りです。

疲れているとそのまま寝てしまうのですが、眠たくない時はタクシーの運転手さんに話しかけます。

タクシー業界と飲食業界は景気が最後に回ってくるなんて言いますが、タクシーの運転手さんに聞くと世の中の景気が本当によくなっているのかどうかよくわかります。

アベノミクスなんて言っているけど、本当に景気回復していますか運転手さん、と。

ここ何年も景気が回復していますね、なんて言葉は耳にしたことがないので、新聞で何が書かれていても、ああ、やっぱり景気回復していないんだなと思うのですが、まあ、こういう時にめちゃくちゃ儲かってますね、なんていう人も少ないでしょうから、でも小泉改革の時のタクシーの規制緩和した頃に比べると多少は回復したんじゃないじゃないですか。なんて知ったような口をきいてみたりします。

(あと、ロング増えてますか?なんてまた知ったかぶりすると、お客さんよく知ってるねえ、なんて言われます。ロング=タクシー業界の用語で1万円以上のお客さんのこと)

タクシーの運転手さんと話すときに、面白いのがこの景気の話と運転手さんの昔の話。

タクシーの運転手さんは、昔からずっとやっていらっしゃる方もいますが、異業種から転職されてくる方も多いです。
中小企業で社長さんやっていた方なんて人も結構います。

いやあ、アパレル関係の会社経営してたんですが、バブルの時にやられちゃってねえ

昔はね、部品工場に勤めてたんですが、系列の再編で工場なくなっちゃってねえ

決して景気の良い話ではないのですが、昔の話を聞いていると、自分の知らない世界や業界のことが結構聞けたりして勉強になります。

え、本当ですか。

その時、どうしたんですか。

やっぱり、大変だったんですよね。


もっぱら口下手な私は年下という立場も利用して、そうやって色々と話を掘り下げていきます。

運転手さんの中には、昔の話をしたくない方もいらっしゃるでしょうが、こちらがふむふむ、ふむふむと聞いていると色々と話してくれる方も結構います。中小企業の社長さんやっていた方なんかは親方大将ですから、自分の業界以外の知識も幅広く持っている方も多いです。ふだん、お客さんの話を聞くほうが多い人なんかは喜んで話してくれます。

自分から話すのが苦手な方は少しリアクションを大きくしてみるといいかもしれません。

えー、そうなんですか。(ややオーバーアクションで)

本当ですか。(やや大げさに)

明らかにわざとらしい言い方はよくないと思いますが、多少、うまく、相槌を合わせていると運転手さんも次第に気分がよくなってどんどん話をしてくれるようになります。

営業用語だとラポールというのでしょうが、とにかくふむふむ、ふむふむと相手に合わせていきます。


その日も同じように色々と運転手さんに相槌を合わせて色々と聞き出していました。

話は経済の話から政治の話へ。

生きた教科書とはまさにこのことで、その日もプラザ合意のことからバブル崩壊のこと、行政改革のこと、、、と話があちらこちらと飛びながらも盛り上がっていきました。新聞読んでもなかなか入ってこない話でも具体的な話が入るととたんに身近に感じられます。

そして、最終的には、なんだかんだやっぱり田中角栄みたいな政治家がいないと日本はダメだなという結論に達したところで自宅につきました。

結局、99%くらい運転手さんが喋ってたなぁと思いながら、ああ、今日も勉強になったと半分寝ている頭でお勘定を済ませたところ、最後にタクシーを降りるタイミングで運転手さんからこう言われました。


にいちゃん、今日は楽しかったよ。
面白い話を聞かせてくれてありがとう。
にいちゃんみたいな若い人が日本を背負っていってくれよな。



私は、相槌打っていただけなのに、「話を聞かせてくれてありがとう」と言われたのです。

そうか、人間は案外、自分が話すのか相手が話すのか気にしていないのかもしれないなと思いながら自宅に帰って寝ました。


普段、人は、色々な人とコミュニケーションを取っているように見えますが、真摯に人の話を聞くような場面というのは以外に少ないのかもしれませんね。そんな時、ふむふむ作戦とやや大げさなリアクションを続けていると、やがて相手の気分が盛り上がってきて、最後には、まるでその話を相手がしてくれたような気分にすらなるのかもしれません。

人間は自分が聞きたい話しか実は聞いていないのではないのかなんてこともよく言われますが、このタクシーの一件のように、実は一言も中身のある話をしなくても相手を感動させられることがあるんだなと思った一日でした。


自分は話すのが苦手だという方は、ふむふむ作戦と大げさなリアクションを意識するといいかもしれませんね。

では。